小商いへの想い

 小商いがしたいと思ったのはいつごろからだったのか。学生の頃、アルバイトをはしごしていた頃だったかと思う。還暦を超えた爺さんの学生の頃なので、もう相当な昔ばなしである。あの頃、小田実 著「何でも見てやろう」とか、竹村健一 著「自分の会社を持ちなさい」とか、作者や正式名称は忘れたが生涯現役族になろう的な本を読んで色々と考えていた頃だ。

 何のコネも、金も、商売の経験もない自分がどうすれば生き甲斐を持って生きていけるかを考えていた時期です。20代は修行と決めて会社に入れさせていただきました。その間バブル時代もあり、色々と経験させていただきました。最初は商店への飛び込みセールスの会社、次が法人取引の営業です。37歳の時に小商いで起業しました。

 有限会社としてやり始めました。本当は会社でなくても良かったのですが、オフィス関連の印刷や販促物の営業をメインにしたので会社にしましたが、小商いでやることだけは決めていました。ひとりでやれる。高齢になってもできる。自信を持って売れる。リピートがある。できれば自分で作ったものを売る。この5項目が自分の小商いの基本です。

 自分の性格は内向的なので、営業は不向きと思っていますが、どうにか25年生き伸びています。感謝。小商人(こあきんど)が好きなのです。大商人は性に合いませんし無理です。日常的に生活や仕事や趣味などで人が実際に使うものを一つピックアップして、磨いたものを広めたい。そう思っています。今はそれが名刺です。

 最近では副業、ダブルワーク、起業とよく言われていますが、小商いもその中のひとつの選択肢に入れてほしいと思います。特に定年後とか、新卒で入社したけれど違和感があるとか、内向的だけど何か挑戦したいとか、子育て終わったとかなど色々なパターンがあると思いますが、就職だけでなく小商い起業を、ひとりで、又は仲間と、家族で考えてみるのも悪くはないですよ。これだけは言えます。小商いの最大の味方は家族の同意です。ああ、その人達の名刺を創りたい!

 

 

 

働き方を考える

 

 昨日NHKスペシャル「A Iに聞いてみた」という番組をみました。働き方をテーマにA I21万人分の個人データーを投入し、そこから提言を導きだすというものでした。その中の提言のひとつに仕事の効率を上げたければ「11時間54分以上働け」というものがありました。ただ健康度のデーターは含まずです。組合関係、野党はバカなことを言うなと怒りそうですね。

 興味深かったのは、「没頭度」 「継続度」 「効率と利益」という流れでした。11時間54分以上というのは色々な前提条件のうえで成り立つ A Iからの提言でしたが、自分も小商いですがしていますと、夢中になると時間で終わりという訳にはいきません。それで利益につながればいいのですが、それはともかく働き方は難し問題なので、データーだけでは結論は導き出せないなと思いました。

 その番組の中で働く人の満足度のことで、ちょっとした飴やガムを記念日とか、何かにつけ渡しコミュニケーションをとる方がいて、マメにされているのに感心しました。中々でマネはできませんがA Iうんぬんという番組でその方を実際に取材し、取り上げたことにNHKもやるじゃん。と思いました。そこで思うのは飴ひとつでも渡すという行為が働く人のモチベーションにかかわってくるということです。

 自分は名刺屋という小商いの小商人ですが、いつも考えていることがあります。それは名刺交換という習慣のことです。名刺という小さな紙切れを初対面の人と交換するのはなぜ習慣となったのだろうかと。自分はそれが先人たちの生き方の知恵なのだと思っています。人が人と初めて出会い、取引を始めるかもしれない時に眼と眼をあわせ、挨拶をして、なにがしかの会話をすることで人間のもつ本能みたいなもの、勘とか印象とかを働かしているんだと思います。だから今の時代でもメール交換だけでなく名刺交換が有効なビジネスの小道具として使われると。

 自分も名刺の作成を依頼されて作る時は時間をきにしません。だから儲からないのかもしれません。小商いには、大きな儲けは中々大変ですが、満足度は充分あります。番組のなかで起業された方が大変ななかでも楽しそうに仕事をされていましたが、よくわかる気がしました。

 

 

 

もっと増やそう小商い

 3月になるとスーツの広告が増える。今季は売り手市場で学生は引く手あまたで良かったなと思う半分、選択肢はそれだけじゃないので、数か月後に心を折るなと切に祈る。雇用は完全雇用状態に近いと世間はいうが、政府のいうことはうわべのことが多い。それぞれがフィットしているとは思えない。まあ、新入社員も気張らずに数年の間、世間をみるつもりでシッカリと働けばいい。自分に適していれば、そこで頑張ればいいし、違うと思えば別の道はいくらでもあるのだから。

 別な道の一つに「小商い」も入れてほしい。今は昔と違いネット、SNSでお客様とつながれる時代なのだから、企業がする大きな商いでなくとも生計の道はある。我々が考える小商いと、若い人の考える小商いとはズイブンと違うはずだ。彼らのアイデアに驚かせられたい。自分が思っている 「小商い」 はキチッとしたものを、キチッとした人に、ちゃんと売る。というイメージでやってきました。何を取り扱ってもこれだけは守っています。

 小商いを目指して色んな人がチャレンジしてくれると、勝手ながらうちのような名刺屋も色々なアイデアのカードを創れて楽しいだろうなと思っています。現代は少子高齢化であるとか、グローバル化だとか、AI、IoTの時代だとかいわれます。確かに、その通りで高度成長、バブルの時代とは世間の空気が違います。でも、人が楽しくなければ世間がおかしいと思った方が健全な気がします。自分と皆が考えも、行動も違っているのが当たり前なのですから。会社がつまらなければ自分で小商いを始めて下さい。

 小商いを考えた時、名刺で自分をアピールすることを試してください。今までの与えられた名刺ではなく、あなたが主役で、あなたの名前で生きて行く為の名刺を考えてみてください。屋号は何にしますか、個人でやりますか、会社にしますか、何を、だれに、どこで、いくらで商い、どの位儲けますか、名刺のロゴやデザインはどうしますかと次から次へとでてきます。それをひとつずつ自分で決断していくのが小商いの始まりです。いつか、あなたの名刺を創りたいものです。