名刺にはパワーがある

 名刺にパワーがあるのは確かである。しかし万能ではない。大切なのは名刺という道具をどう使って人とのご縁を広め、自己実現をして行くのかだ。名刺はそのイントログッズなである。有効な販促品であり、単なるバラマキではない。かと言って、とてつもない効果をうたう名刺もあるようだが惑わされないで欲しい。

 人は社会人となり名刺を持つと何かを自分の中に感じるのだと思う。会社からみると所属させたということで仕事に対して責任を持ってのぞめと伝達する効果がある。個人で考えると誰かに認められている。組織というバックアップができた。この紙を交換することが初めての相手と何がしかの取引をする入口になる。

 世の中おかしなもので、この一枚の紙の交換が色々な事の始まりとなる事は事実なのだ。だから信用のおける大会社や有名企業、銀行、役所などの名刺は良く皆が知っている社名、製品名、ロゴ、キャラクター、ISOなどを全面にだす。要はウチと取引すれば安心ですよ。だましませんよ。というわけである。だから、本人の名前はやたらと小さいデザインが多い。高齢化で老眼の多いこの日本でだ。そして同じパターンのデザインが多くなる。

 名刺は会う人に無意識に信用を判断する材料を提供する小道具に使われている。世間も常識としてその習慣を便利に使う。それは社長どうしでも、新入社員でも同じように。この瞬間にも気の遠くなるほどの数の交換がされている。まさに丁度いいビジネスの小道具なのである。なのに同じパターンのものしか使わないのか?

 前記したような大企業などはそれでも取引がこまることは無いのだろうが、個人や我々のような小さいところはそういう訳にはいかない。工夫しなければ生き伸びる事はできない。何ができて、何をしたいのかを伝えなければ名刺交換という初対面の人とのチャンスをつかむことは難しい。できるだけ我々のような小さいところが名刺交換でチャンスをつかめるような工夫とかをブログで紹介したいと思っています

 

なぜTVなどでCMがあれほどできるのか?

最近、名刺管理システム(Sansan)のテレビCMを見ない日がない。どうして高額なテレビでのCMをながし続けることが出来るのだろうか? それだけ儲かるということなのだろう。数年前から色々なビジネスショーで出店していたので内容は知っていたのだがこの一年位のTV、新聞、雑誌等々の取り上げ方の多さはすごい。

 2007年に「人と人の出会いを資産に変え、効果的に人が出会う仕組みをつくりたい」と起業したクラウド型の名刺管理システムの会社と日経新聞の1月の記事にも掲載されていた。それによると6000社が法人向けサービスを導入していると書かれている。確かにすごい勢いである。名刺情報を会社で共有の資産としたいと考える会社がこれほどあるのは日本の中で取引はどんなふうになっていくのだろうか?

将棋や囲碁の世界ではAIと人との対局が話題になる。AIが進化していくと、これらの情報はどんな風に人に役立つことになるのだろうか?この会社は何度も色々な人がコンタクトをとっているが取引がないので何種類かの違う方法を提示し、どれを選択するかと確率を示しながらAIと相談するという社会になるかもしれない。いや既にそうなっている。

スタートアップ企業はどんどん投資を集めCMし、社会に今まで気づかなかった価値観を急速に広めていく。その流れが一つの時代であり、正しかろうが、間違いであろうが止めるのは人為の及ぶところではなくなります。AIAIと何かを進めていくのではなく、そこに人が介在して制御できることを切に願うのは、時代おくれな事になってしまったのでしょうか。

自分にできない事をいくら考えても仕方がないので、自分は人が「ほっこり」できるものを商っていきたいと思います。

 

なぜ名刺なのか?

我々が社会人として名刺を持った40年前は、厚手の紙でタテ型タイプが主流でした。内容は社名、所属、役職、名前、住所、電話が書かれたもので、それを鉛の活字を一文字づつ拾い制作する活版印刷でした。パソコンも携帯もFAXだって無いし、コピー機だって、そうは普及していませんでした。リピートはともかく新しい注文は単価が安くて、儲けは少なくとも打合せに行かなくてはならないので営業は大変でした。そんな時代の中で名刺交換はとても大切な仕事のルールの一つでした。そこで信用してもらうのに必要なのは、どこの会社の所属で、実際ちゃんと存在しているのか? 何の為に来た誰なのか? 名刺を調べられても大丈夫な社会人ですよという事だった気がします。

時代は流れFAX、携帯、パソコン、SNS等々、会社はもちろん個人、それも小学生でも扱えるインフラとなりました。その進化は驚くばかりです。それに伴い名刺に記載される事項も増えました。FAX、携帯、メール、ホームページ、LINEISOマーク、郵便番号、英文表記、写真 バーコード等々どんどん増えていきました。名刺もヨコ型タイプの薄手のカラー印刷が主流になりました。もちろん、これだけの情報量を記載するので文字は小さくなり、老眼の我々は解読するのが大変です。

印刷技術も活版からオフセット、オンデマンド印刷と多様になりました。納品のスピードも変わりました。昔は最低一週間位あたり前でしたが、今は翌日出荷の所も多くなりました。そして注文先も印刷屋・文具屋さんからネット通販の文具、印刷だったり、大企業の場合は広告代理店経由だったりと多岐にわたり、デザインや紙質も色々流行りがあります。ではなぜ、この目まぐるしく変化する時代の中で、いまだに名刺は生き残って存在しているのでしょうか? 名刺交換という行為は、IT社会、SNS全盛、AI化というこの時代にどうして存在しているのでしょうか?また進化していくのでしょうか?

人と人が実際に初めて会ってビジネスのきっかけだったり、自分の大事なキーパーソンになるかもしれない。その時にアナログな名刺交換という風習、ルールが存在している。それは思うに、ナマの感覚というか緊張感、今まで会ったことない人と会話して、紙一枚だが相手の持ち物と交換するという行為自体が意義のあることなのだ。考えてみると単にデーターの交換なら今の時代は色々ある。なぜ、名刺なのだろうか? 人と人が出合い、何かの縁が始まるかもしれない時に形のあるものを交換しあうという行為が理屈ではなく人には安心感、緊張感、直観だったりを与えてくれるのである。それは丁度いい習慣、距離感で我々世代からすると、これが人と仕事をしているのだという「ほっこり」を感じられる。