会社との取引の話

名刺屋を始めて25年がたちました。ともかく生き残っていることに感謝しかありません。そのなかでも量が多いのは会社取引の名刺です。有難いことに25年間のご愛顧をいただいているところも何社かあります。会社取引で思いだすことがあり、今回書きとめることにしました。

 会社取引の名刺は儲けが少ないのですが毎月一定量が見込めるので助かります。リピートがあるというのは小商いにとり本当に大切な要因です。そのなかでまいったことを書きます。

 一つ目は認証マークです。25年前はあまり名刺に入れているところはありませんでした。それが国際競争で日本の規格で勝負できなくなったことや役所関係が推奨し始めたことで、どこでも認証マーク(ISO等)をカラーで記載するようになりました。認証はお金がかかりますから、その分他を節約することになります。そのしわ寄せが名刺、封筒、文具などの日常的に使うものになりました。

 カラー刷りにして、制約があり、しかも価格を下げねばなりません。ただでさえ少ない利益が減ります。これはつらかったです。名刺をメイン商品でやっていただけにきつい時代でした。人は困れば色々と考えざるおえませんのでどうにか生き延びています。方法については長くなりますので後日とさせていただきます。

 二つ目は名刺を大量に使っていた会社が内部に印刷のセクションをつくり、内製化したことでした。その理由は不景気が続きリストラされる人達の受け皿として、関連会社をつくりそこに日常品を発注するという会社が何社かでてきました。また

社会全体で障がい者の雇用の問題があり、ある規模の会社は雇用を義務付けられるので先ほどのように内部に印刷のセクションをつくることがありました。内部の人に聞いた話ですが、そこは食品の大手企業でしたが工場に障がいをもつ人の為に、バリアフリーとか他の設備を見直すより安上がりなのだと聞きました。真偽はわかりませんが政府官庁が雇用していることの水増しをする問題が起きたことを考えると、あるかもしれないと思います。なにせこちらは民間ですから資金に限りがあります。

 いわゆるその流れと闘うのは、とても社会的にむずかしいことです。社会的弱者と闘うのは小商いとしてはあきらめるしかありませんでした。でも我々も社会的には充分弱者なのですが、甘いとしか思ってはもらえないのが浮世のつらいところです。「闘う名刺!」を作ろうと考えた原点です。