名刺屋で30年近くもやっていますと色々な名刺を作ってきました。数は解りませんがかなりの数です。でも考えてみると会社から依頼される名刺が圧倒的に多かったのも事実です。個人から依頼を受ける場合も一般的な形式のものがほとんどでした。名刺の定型の内容からはみだしていないのです。
名刺はその役割として初対面の人とご縁を持とうという時に使う物ですから、失礼にならないように定型のパターンが多くなるのでしょう。数十年前の名刺は縦型で厚手の紙に社名・名前・連絡先が一般的で活版印刷で印刷屋さんの片手間仕事のように作られていました。
それがバブルの頃からでしょうか横型で薄めの紙にカラーで刷られるものが多くなりました。印刷もオフセット印刷で金額も中々のものでした。内容は先の内容にコーポレートマークをカラーで刷るようなものが増えました。連絡先も郵便番号やFAXなどが増え、社名もカタカナのものも多くなりました。
その次がオンデマン印刷で小ロットを安く作れ、しかもカラー刷りですので当たり前のように主流となりました。その頃にはメール・ホームページ・携帯などが記載されるのが普通になり行が増え、名前や社名が小さくなりました。それだけでなく認定マークを入れるところが多数になりました。
一般的な名刺でもこれだけ変化はしています。内容は記載事項が増えてはいますが名刺の役割的なことは変化してきませんでした。社会はどんどん変化しています。昭和の高度経済成長、平成のバブルそして崩壊、失われた数十年と。そうこうしているうちに令和の御代となりました。
この間の技術革新は印刷だけでなく各分野に及び会社から個人の時代に移っています。もう会社は終身雇用などの制度はありません。国も働き方改革を推奨し定年延長は当たり前だし、年金も訳が解らない状態だし、老人大国になってしまいました。要は個人が主体になり稼いでいかねばやっていけない時代になったのです。そこで自分も名刺に関する考え方を捨てることにしました。名刺を新しく定義しなければ名刺そのものが消えてしまうのです。
そのことをこれから書いていきたいと思います。