習慣も、ずいぶんと変わる

 先月だったか日経新聞の一面「春秋」のコラムに時代が昭和から平成に移る頃に役所の文章の宛名が変わりはじめ、それを「殿様改革」が進んだと書いていました。何のことかと思ったら、いかめしい「○○殿」から、やわらかな雰囲気の「○○様」へ。「ことばの行革」が進行中と当時の新聞に出ていたそうです。確かに最近はあまり殿を使ったことがないと思いながら平成最後の年賀状の表書きを書きました。

 年賀状のやり取りもずいぶん少なくなってきました。今年も喪中のハガキがかなり届きました。我々還暦を超えた世代は親が高齢になっていますから仕方がないのですが、自分と同年代の仲間が亡くなるのはショックです。年賀状の習慣も新しい時代にはもっと変わることでしょう。

 名刺や軽印刷の小商いをしていると年賀状の売上が25年前のころに比べ激減したことがよくわかります。個人もそうですが法人が年賀状を出さなくなりました。たぶん中元・歳暮も激減したと思います。我々が新入社員の頃、もう40年も前ですがこの時期は担当者の住所を聞き出すのも営業のテクニック、仕事のひとつでした。今は難しい世の中でお世話になった担当や会社に送るのをためらわねばなりません。

 年末のカレンダー、ダイアリー、手帳の名入れ、年始のタオルなども激減してしまいました。年末年始に上司と一緒に挨拶回りをしたことを時々思い出しますが、今はどうなのでしょうか?すべてがSNS、メールなどで済まされるのが当たり前と頭のデーターを書き換えるのは自分には無理なのではないかと感じています。

 この時代の流れの速さに圧倒されますが生きていかねばなりません。小商いは流れの中を安定した船があるわけではないので、浮いている流木につかまってでも呼吸しなければなりません。来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、笑うなら笑えという気持ちでせめて筏ぐらいには乗れるように、もうひと踏ん張りしようと考えています。