先日行った文具フェアで感じたことだが、以前は文具というジャンルの店の主展がほとんどだったのに今回は全体で言うと雑貨フェアでした。日本の企業も来年あたりは主展しないところも増えるだろうとおもいます。残念ですが、そのうち中国文具フェアと名前が変わる気がします。
勢いとはいえメーカーの責任は重いと思います。自分たちがコストパフォーマンスの都合で中国やアジアの低賃金な場所に工場をつくり、国内でおもしろい、役に立つ製品開発を怠ったツケだと思います。業界全体で文具好きを増やすのではなく個別に独自色といってメーカー独自のフェアをしていますが、ぜんぜん面白くありません。文具屋の店頭のようです。
文具好きの自分などは不満でいっぱいです。文具は時代を映しているところがあり興味がありましたが、今はどうでしょうか? 昔だとえんぴつがシャープペンになり、インクのペンがボールペンになっていくみたいな時代変化を乗り越えてメーカーが新しい提案を世の中に広めるアイテムがありました。我々はその中で暮らしてきました。
文具メーカーには文化を創造してもらいたいと思います。日本の和紙が今も海外で注目されるように、自分たちの送り出す製品の用途や意味も考えて欲しいと思います。文具屋さんが町で減ったのはネット通販の進出もあるけれど、文化という観点をメーカーが強調できず、コストに頼ったことも大きな理由だと思っています。
いつだったかNHKで代書屋さんのドラマ(名前忘れてスミマセン)がありました。浮世ではなかなかうまくいかないのは解っていますが、代書屋とか文具屋さんとかの言葉の響きが大好きです。儲けは大切ですが何かにこだわって商いをなりわいにしているのが感じられ素敵に思います。江戸時代だと小間物屋、荒物屋、貸し本屋など小商いがあり背中に背負って行商する姿が目に浮かびます。想いどうりにいかない浮世を一生懸命に工夫して活きてきたのが、我々のご先祖様たちなのでしょう。自戒をこめて我々小商いをしているものは、もっと工夫しましょう。