この間ヨーロッパの中世について調べていたら興味深い情報を見つけた。それは一般庶民にどのぐらい職業意識、つまり自分はこの仕事をしているという自負があるかどうかというものである。
これについてはその時代の人でも個々に差があるため一概に全てとは言えないものの、神職などの一部の特別な職業はともかく、一般の庶民にはそこまで職業に対するこだわりというものは浸透していなかったようだ。
もし一つの仕事をしているとしてもそれはそれ以外の職につくという選択がないからであって自ら望んでということは少ない傾向にあるようだ。
それも例えば靴職人などの専門職にたずさわる人のことであって、それ以外の人は日雇いのような仕事をしたりして、固定の職につかず今日は積荷を運ぶ仕事、明日は別の仕事などとほぼなんでもするという意識でお金を稼いでいたこともあったらしい。
これは当たり前といえば当たり前でこの時代はお金を稼ぐことは今よりももっと食べることや生きることに直結しているので、職業がどうのとは言っていられないわけである。
天職とか天命という言葉は昔からあったようだが、このような歴史的事実を見ていると、本当はそのようなこだわりは作り出されたものであり、ないものであるような気がしてくる。
現代人はとかく職のチョイスで悩みがちだが、本当はもっとシンプルに考えていいのかもしれない。